中小企業の新たな挑戦を後押しする「新事業進出補助金」が、2025年度より本格的にスタートしました。本記事では、制度の概要や詳細、申請要件、事業計画書作成時のポイントに加え、実際に採択された事業例、よくある質問までを、行政書士の視点からわかりやすく解説します。


新事業進出補助金とは?【制度概要】

「新事業進出補助金」は、既存事業とは異なる新たな分野への挑戦を支援する補助制度です。たとえば、製造業者がIoT分野に参入する、飲食業が冷凍食品事業を立ち上げるなど、企業の第二創業的な取り組みに対して、設備投資や研究開発費用の一部が補助されます。

  • 補助上限額:2,500万円~7,000万円(賃上げ要件充足で最大9,000万円)
  • 補助率:1/2(中小企業)
  • 対象事業者:日本国内に本店を有する中小企業等
  • 対象経費:機械装置・システム構築費、建物費、技術導入費、知的財産権取得費、外注費等

制度の詳細と申請要件

主な申請要件(※2025年時点)

要件名内容
新事業進出要件既存の事業とは異なる製品・サービスまたは市場へ進出すること
付加価値額要件3~5年間で付加価値額が年平均4%以上増加する計画であること
賃上げ要件給与支給総額が年平均2.5%以上増加、または地域最低賃金の成長率を上回ること
事業場内最低賃金最低賃金より30円以上高い水準に設定
ワークライフバランス「一般事業主行動計画」を公表していること

採択事業の例(モデルケース)

例1:製造業 → スマート工場化

  • 企業概要:金属部品の製造業(従業員20名)
  • 新事業内容:IoTセンサーとAI解析技術を活用した無人生産ライン導入
  • 補助内容:設備投資費用、外部ベンダー委託費
  • 効果:受注から生産までの納期が30%短縮、生産能力は1.5倍に向上

例2:飲食業 → 冷凍食品D2C

  • 企業概要:地域密着型レストラン
  • 新事業内容:人気メニューを冷凍加工し、ECサイトで販売
  • 補助内容:急速冷凍機の導入費、パッケージデザイン外注費
  • 効果:店舗売上の減少をECでカバーし、全国販路を開拓

例3:建設業 → 再生可能エネルギー事業

  • 企業概要:土木工事業者(中小企業)
  • 新事業内容:太陽光パネル設置・保守管理事業の新設
  • 補助内容:研修費、機材費、技術導入費
  • 効果:地域自治体との提携による継続案件の獲得

事業計画書作成のポイント

  1. 新規性・市場性の明示
     他社との差別化、新規市場の可能性を客観的データで示しましょう。
  2. 実現可能性の裏付け
     工程表・体制図・外注先との契約意向書などで信頼性を補完。
  3. 経済的・社会的波及効果
     売上・雇用創出・地域貢献などの波及効果を数値化して記載。
  4. KPIの明確化
     付加価値額・利益率・設備稼働率など、評価指標を設定。

申請から補助金入金までの流れ

ステップ内容
STEP 1GビズID取得(電子申請に必須)
STEP 2公募要領確認(公式サイトで最新版を入手)
STEP 3申請書類作成(事業計画書、決算書等)
STEP 4jGrantsで電子申請
STEP 5採択結果通知(平均1~2か月後)
STEP 6交付申請・交付決定
STEP 7補助事業実施(期間内に支出・実行)
STEP 8実績報告書提出(証憑類を含む)
STEP 9補助金受領(審査後に銀行振込)

よくある質問(FAQ)

Q1. 新事業とは具体的に何ですか?

A. 既存の製品・サービスとは「異なる内容」であり、かつ新たな市場を対象とするものです。業種を跨ぐ必要はありませんが、明確な差別化が必要です。


Q2. 開業して間もない企業でも申請可能ですか?

A. はい。ただし決算書が1期以上必要です。また、資金調達や実行体制に信頼性が求められます。


Q3. 補助金は前払いされますか?

A. 原則として、事業実施後に「後払い」です。資金調達計画を事前に立てておく必要があります。


Q4. 採択率はどれくらいですか?

A. 公募回によって異なりますが、概ね30〜40%前後とされます。事業の新規性・実現性・波及効果が重要です。


Q5. 採択された後に使途変更は可能ですか?

A. 軽微な変更は事務局の承認により可能です。大きな変更や目的外使用は原則として認められません。


行政書士による申請サポートのご案内

新事業進出補助金の申請は、要件の厳格さ事業計画書の高度な完成度が求められるため、専門的なサポートが有効です。

当事務所では、以下のサービスを提供しています:

  • 要件確認・戦略策定の初期相談
  • 事業計画書の構成・作成支援
  • 採択可能性の高い文書へのリライト
  • jGrants電子申請代行

お気軽にお問い合わせください。無料相談も随時受付中です。