小規模事業者持続化補助金とは?
小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が販路開拓や業務効率化を行うための取り組みに対して支給される補助金です。商工会・商工会議所の支援を受けて、経営計画を策定・実行することが前提となります。
目次
1.補助金の概要
項目 | 内容 |
---|---|
補助対象者 | 小規模事業者(※業種・従業員数による) |
補助上限額 | 通常枠:50万円 特別枠(インボイス枠、賃上げ枠など):最大200万円 |
補助率 | 2/3(特定枠の場合は3/4) |
主な対象経費 | 広告費、機械装置費、開発費、展示会出展費、外注費など |
採択率 | 応募回によって異なるが、おおよそ30~60%程度 |
申請方法 | 電子申請(jGrants)または書面提出(商工会・商工会議所経由) |
2.申請の流れ
STEP1:対象かどうか確認
- 「小規模事業者」に該当するかを確認(例:製造業なら従業員20名以下、サービス業なら5名以下など)
STEP2:経営計画書の作成
- 「今後の事業方針」や「補助事業の内容」などをまとめた経営計画を作成します。
- 商工会議所・商工会の支援を受けることが必要です。
STEP3:商工会等で確認・支援
- 経営指導員による内容の確認を受け、「事業支援計画書」の交付を受けます。
STEP4:申請書類の提出
- jGrantsで電子申請するか、商工会議所・商工会経由で書面提出します。
STEP5:審査・採択
- 申請内容をもとに審査が行われ、数週間〜1か月程度で採択結果が通知されます。
STEP6:補助事業の実施・報告
- 採択されたら補助事業を実行し、完了後に実績報告書を提出することで補助金が交付されます。
3.採択されるためのポイント
✔ 経営計画の明確さ
- **なぜその取組が必要なのか?**という課題設定が明確であること
- **誰に・どのように売るか?**という具体的な販路開拓戦略が書かれていること
✔ 費用対効果の説明
- 「この取り組みで、どれだけ売上・利益が向上するか」を数字を交えて説明すると効果的
✔ 地域性や社会性への配慮
- 地域活性化やSDGs・脱炭素など社会的意義がある取り組みは加点対象になることも
✔ 商工会との連携の深さ
- 経営指導員としっかり連携し、計画内容をブラッシュアップすることで完成度の高い計画書が作成できます
✔ 誤字脱字・論理の一貫性
- 採択率の差は**「読まれる計画書」かどうか**で大きく変わります。専門家にチェックしてもらうのも有効です。
4.特別枠(インボイス枠・賃上げ枠など)について
近年の持続化補助金では、以下のような特別枠が設けられており、条件に合致すれば上限額や補助率がアップします。
特別枠の名称 | 上限額 | 補助率 | 主な要件 |
---|---|---|---|
インボイス枠 | 100万円 | 2/3 | 免税事業者からインボイス発行事業者への転換による取り組み |
賃上げ枠 | 200万円 | 2/3〜3/4 | 地域別最低賃金より+30円以上の賃上げを行う |
卒業枠 | 200万円 | 2/3 | 小規模事業者から中小企業への成長(従業員増など) |
後継者支援枠 | 200万円 | 2/3 | 後継者が事業承継して新たな取り組みを行う |
創業枠 | 200万円 | 2/3 | 創業して間もない事業者が取り組む場合 |
※各回の公募要領によって細かい要件は異なるため、最新の要領を確認することが重要です。
5.採択率を高める実践的アドバイス
採択されるためには、形式だけでなく、中身の説得力と具体性が求められます。以下のような点を意識して計画書を作成しましょう。
● SWOT分析の導入
自社の**強み・弱み・機会・脅威(SWOT)**を整理し、「なぜこの取組が必要なのか」をロジカルに示す。
● 数値根拠の提示
「○○の広告を出すことで見込み顧客数が○○人増加」「作業時間を1日あたり○時間削減」など、数字による説得力を持たせる。
● 写真や図表の活用
設備導入前後のイメージ、商品構成、販路図などを図解することで、審査員の理解を助ける資料をつける。
● 第三者の声の引用(実績など)
「取引先からこうしたニーズがある」「展示会で好評だった」など、客観的な根拠があると好印象。
6.よくある不採択理由と回避策
不採択理由 | 回避策 |
---|---|
内容が抽象的で具体性に欠ける | 数字・実例・スケジュールを明示して「誰が、いつ、何を、どうする」を明確に |
費用の使い道が不明確 | 「○○に○万円、その理由」まで書く |
経営計画と補助事業が結びついていない | 経営目標と補助事業の相関をしっかり説明 |
業種と合っていない取り組み | 事業内容と補助対象経費の整合性に注意 |
商工会の確認・添削が不十分 | 必ず事前相談し、計画内容をブラッシュアップ |
7.行政書士による支援のメリット
- ■ 計画書作成のアドバイス・代行:構成・表現の工夫、採択事例との比較
- ■ スケジュール管理:提出期限・必要書類の管理
- ■ 電子申請支援(jGrants):gBizID取得から提出までフォロー
- ■ 商工会との連携調整:訪問日程や計画書内容の擦り合わせ
8.おわりに
小規模事業者持続化補助金は、地域に根ざした中小・小規模事業者が未来に向かって一歩踏み出すための強力な支援制度です。事業の成長に向けた投資に活用することで、売上増や業務効率化など、目に見える成果が得られます。
行政書士は、こうした公的支援制度の申請サポートを通じて、事業者と伴走する役割を担っています。制度をうまく活用し、持続可能な経営へつなげましょう。