こんにちは。東京都・多摩地域(府中市・立川市・国立市など)を拠点に、建設業許可や補助金申請サポートを行っております、おくだいら行政書士事務所です。

東京都内で事業を営む経営者の皆様の中には、最新の機械設備導入や革新的なサービス開発のために「ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)」の活用を検討されている方も多いのではないでしょうか。

ものづくり補助金は、最大2,500万円(グローバル枠では3,000万円) という補助上限額の大きさと、小規模事業者であれば補助率2/3 となる点が非常に魅力的な、中小企業の「攻めの投資」を強力に後押しする補助金です。

しかし、非常に人気が高く、採択されるためには「単に機械を買いたい」というだけでは不十分です。生産性を高める「革新性」を盛り込んだ、精度の高い事業計画書の作成が不可欠です。

この記事では、東京都の事業者様が「ものづくり補助金(第22次公募)」の申請で失敗しないために、行政書士が押さえておくべき重要ポイントを徹底解説します。


そもそも「ものづくり補助金」とは?

まず大前提として、ものづくり補助金は「古い機械を買い替える」ための補助金ではありません。公募要領には、その目的が明確に記されています。

目的:生産性向上に資する**「革新的な新製品・新サービス開発」または「海外需要開拓」**のための設備投資等を支援すること。

2026年(第22次公募)では、主な申請枠として以下の2つが設定されています。

  1. 製品・サービス高付加価値化枠革新的な新製品・新サービス開発の取り組みを支援する枠です。「単なる既存の製品・サービスのプロセス改善(=安く・早く作れるようにするだけ)」は対象外であり、顧客に新たな価値を提供できる開発であることが求められます。
  2. グローバル枠海外への直接投資、輸出、インバウンド対応など、海外事業を実施し、国内の生産性を高める取り組みを支援する枠です。

多くの事業者様は、1の「製品・サービス高付加価値化枠」での申請となります。この記事でも、主にこの枠について解説します。


2026年(第22次公募)の概要:いくらもらえる?

補助上限額と補助率は、企業の規模によって異なります。

補助上限額補助率
中小企業者従業員数 1~5人: 750万円
従業員数 6~20人: 1,000万円
従業員数 21~50人: 1,500万円
従業員数 51人以上: 2,500万円
1/2
小規模企業者・小規模事業者
(製造業・建設業等は従業員20人以下)
(同上)2/3
(製品・サービス高付加価値化枠の場合)

東京都内の小規模な建設業様や製造業様(従業員20名以下)の場合、補助率が2/3になる点は大きなメリットです。例えば、1,000万円(税抜)の機械を導入する場合、約666万円の補助が受けられる計算になります。


【重要】ものづくり補助金の「3つの基本要件」

ものづくり補助金に申請するには、以下の3つの基本要件をすべて満たす事業計画(3~5年)を策定する必要があります。

① 付加価値額要件

事業者全体の「付加価値額」を、年平均成長率+3.0%以上増加させること。

(付加価値額 = 営業利益 + 人件費 + 減価償却費)

② 給与支給総額要件

「給与支給総額」を、年平均成長率+2.0%以上増加させること。

(または、1人あたり給与支給総額が、事業実施場所(東京都)の最低賃金上昇率以上であること)

③ 事業所内最低賃金要件

事業計画期間中、事業所内(主たる実施場所)の最低賃金を、毎年、東京都の地域別最低賃金より**+30円以上**高い水準にすること。

【行政書士からの警告】賃上げ未達にはペナルティがあります

上記②の給与支給総額要件、③の最低賃金要件は、「努力目標」ではありません。

事業計画終了後、これらの目標が達成できていない場合、補助金の返還義務が生じます。

特に、大幅な賃上げ特例(補助上限額の引上げ)を活用した場合は、未達の場合の返還額が大きくなるため、無理のない、しかし着実に達成できる事業計画の策定と賃金計画が不可欠です。専門家として、このリスク管理も含めてサポートいたします。


対象経費のポイント:「建物費」は対象外!

補助金の対象経費は厳格に定められています。何にお金を使えるのかを正しく理解しておく必要があります。

必須の経費:機械装置・システム構築費

ものづくり補助金は「設備投資」の補助金です。そのため、以下の経費が必須となります。

  • 機械装置・システム構築費
    • 機械・装置の購入費、製作費、借用(リース・レンタル)費。
    • 専用ソフトウェアや情報システムの購入・構築費。
    • (注)1単価50万円(税抜)以上の設備投資が必須です

対象になる主な経費

  • 技術導入費(知的財産権の導入など)
  • 専門家経費(コンサルティング費用など。※申請書作成代行は除く)
  • 運搬費
  • 原材料費(試作品開発に必要な最小限のもの)
  • 知的財産権等関連経費(特許取得費用など)

【東京都の事業者様 注意】対象外となる経費

東京都内は地価や家賃が高いため、「工場を新設・改修したい」というご相談を多くいただきます。しかし、ものづくり補助金では以下の経費は対象外です。

  • × 工場建屋、構築物、簡易建物(ビニールハウス等)の取得費用
  • × 設置場所の整備工事、基礎工事の費用
  • × 事務所等の家賃、保証金、敷金、仲介手数料
  • × 汎用品(事務用のパソコン、プリンタ、スマートフォン、家具など)
  • × 広告宣伝費、販売促進費(※グローバル枠は除く)

もし工場の新設・改修(建物費)が計画に不可欠な場合は、「ものづくり補助金」ではなく「新事業進出補助金」を検討する必要があります。どちらが最適か、当事務所で診断が可能です。


審査のポイント:採択される事業計画書とは?

ものづくり補助金は、申請すれば誰でも採択されるわけではありません。外部の有識者による「審査」が行われ、評価の高い順に採択されます。

審査で特に重視されるのは、以下の4つの項目です。

  1. 補助事業の適格性そもそも「革新的な新製品・新サービス開発」であるか、基本要件(賃上げ等)を満たす計画か、などが審査されます。
  2. 経営力会社の現状分析(SWOT分析など)ができており、本事業が会社の中長期的な経営戦略の中でどう位置づけられるかが明確であるか。
  3. 事業性これが計画書の「核」です。
    • 市場や顧客ニーズの分析は十分か。
    • 競合他社と比較して、明確な「優位性」や「差別化」が図られているか。
    • 顧客にどのような新しい「価値」を提供できるか。
  4. 実現可能性
    • 計画を実行するための技術力や社内体制(人員)は整っているか。
    • 財務状況は適切か。金融機関からの十分な資金調達(自己負担分)が見込めるか。

これらの項目に対し、客観的なデータや具体的な言葉で「いかに自社が優れているか」「いかに市場に求められているか」を論理的に説明する必要があります。


【採択率UP】東京都の事業者が活用したい「加点項目」

事業計画書の内容評価に加え、特定の要件を満たすことで「加点」が受けられます。採択のボーダーライン上にいる場合、この加点の有無が当落を分けます。

東京都の事業者様が特に活用しやすい、行政書士がサポート可能な加点項目をご紹介します。

① 経営革新計画の承認

東京都から「経営革新計画」の承認を受けている事業者は加点対象となります。これは、補助金申請とは別に、東京都に対して3~5年の中期経営計画を申請し、承認を得る制度です。

ものづくり補助金の申請を考えている場合、まずはこの「経営革新計画」の承認を先に取得し、採択率を上げる戦略が非常に有効です。当事務所ではこの計画書の作成も一貫してサポート可能です。

② パートナーシップ構築宣言

「パートナーシップ構築宣言」ポータルサイトで、取引先との共存共栄を宣言している事業者は加点対象です。これは比較的容易に実施できます。

③ DX認定

国の「DX認定制度」の認定を受けている事業者も加点対象です。


申請の流れと「後払い」の注意点

最後に、申請から入金までの流れと、最大の注意点である「後払い」について解説します。

申請から入金までの流れ

  1. GビズIDプライムアカウントの取得(必須)
  2. 電子申請システムで事業計画書を提出
  3. (審査)
  4. 採択通知
  5. 交付申請・交付決定(ここで正式に補助金額が決定)
  6. 【重要】事業開始(機械装置の発注・契約・支払い)
  7. 事業完了・実績報告書の提出
  8. 事務局による確定検査(書類・現地)
  9. 補助金の請求
  10. 補助金の入金(後払い)

【行政書士からの最重要アドバイス】補助金は「後払い」=「つなぎ融資」が必須です

上記フローの通り、補助金は採択された瞬間に振り込まれるものではありません。

まず、事業者様が取引先(ベンダー)に設備代金(例:2,000万円)を全額支払う必要があります。その後の実績報告・検査を経て、数ヶ月後にようやく補助金(例:1,000万円)が振り込まれます。

つまり、採択されても、一時的に全額を立て替える「現金(キャッシュ)」がなければ、事業を実行できません。

この一時的な資金不足を補うのが、金融機関の「つなぎ融資」です。

採択されてから慌てて金融機関に相談しても、融資審査が間に合いません。必ず、補助金の申請準備と並行して、取引金融機関に「ものづくり補助金に採択されたら、つなぎ融資をお願いしたい」と相談し、内諾を得ておくことが成功の絶対条件です。


まとめ:東京都での「ものづくり補助金」申請は専門家にご相談ください

「ものづくり補助金」は、東京都で革新的な挑戦を目指す事業者様にとって、非常に強力な武器となります。しかし、その裏では、

  • 「革新性」を問われる、精度の高い事業計画書
  • 「建物費が対象外」など、厳格な経費ルール
  • 「賃上げ未達」による返還リスク
  • 「後払い」に対応するための金融機関との事前連携

など、多くのハードルが存在します。

おくだいら行政書士事務所は、東京都多摩地域(府中、立川、国立、八王子など)を拠点に、建設業・製造業の事業者様を数多くサポートしてまいりました。

「自社のこの計画は『革新的』と言えるか?」

「採択率を上げるために、経営革新計画も一緒に取りたい」

「金融機関への説明も含めてサポートしてほしい」

こうしたお悩みに対し、事業内容のヒアリングから、採択される事業計画書の作成、加点項目の取得支援、採択後の手続きまで、ワンストップでサポートいたします。

初回のご相談は無料です。まずはお気軽にお問い合わせください。