はじめに|「デジタル化したいけれど資金が不安…」そんな声に応える制度

近年、業務効率化や働き方改革、生産性向上の切り札として注目されているのが「DX(デジタル・トランスフォーメーション)」です。東京都では、こうしたDXに取り組む中小企業や個人事業主を後押しするため、最大3,000万円の助成が受けられる制度を実施しています。

本記事では、行政書士として、申請希望の事業者様に向けて制度の詳細・申請のポイント・他制度との活用法・支援体制などをわかりやすく解説します。


DX推進助成金とは?

「DX推進助成金」は、都内中小企業が業務のデジタル化に取り組む際に、その費用の一部を東京都が助成する制度です。都が委託する専門家のアドバイザー支援とセットになっており、単なるIT導入補助にとどまらず、戦略立案から実装・活用まで一体的に支援する点が大きな特徴です。

この助成金は、設備投資や業務改革に多くのコストを要する建設業・運輸業などにも対応しており、DXに遅れを取っていた業種にとっても貴重な支援となっています。


対象となる事業者

助成金の対象となるのは、以下の要件を満たす事業者です。

  • 東京都内に本店、支店、営業所、事業所などを有する中小企業者・個人事業主
  • 実質的に都内で事業活動を行っていること
  • 所定のアドバイザー支援を受けたうえで申請すること

また、建設業・運輸業・医療・介護などの業種については、「働き方改革推進枠」として、特別な助成率が設定されることがあります。


助成額と助成率

事業内容や事業者の属性に応じて、以下の助成額・助成率が適用されます。

区分助成上限額助成率(基本)引上げ措置(最大)
中小企業最大3,000万円1/2最大4/5(賃上げ・特例枠)
小規模事業者最大3,000万円2/3最大5/6(同上)
働き方改革推進業種(建設等)最大3,000万円特例的優遇あり最大5/6

助成率の引上げには、賃金引上げ計画の策定・提出や、特定業種要件の該当などが必要となります。特に人材確保や定着支援といった側面も重視されています。


助成対象となる主な経費

助成の対象となる経費は、以下のように多岐にわたります。

【1】IT・ソフトウェア導入費

  • 販売管理・在庫管理・労務管理システムなど
  • クラウド型サービス(SaaS等)
  • AI・RPA等の業務自動化ツール

【2】機器・設備導入費

  • タブレット、PC、スキャナー等のハードウェア
  • DX対応型の専用装置、センサー類

【3】外注・専門家費用

  • システム開発・カスタマイズ費用
  • ITベンダーへの導入支援委託費
  • 戦略設計やセキュリティ対策のコンサルティング費用

これらの経費はすべて「交付決定後」の発注・契約・支出が原則であり、事前着手の費用は対象外となります。


申請の流れ

本制度の申請は、一般的な補助金よりもやや複雑です。以下の流れに沿って、慎重な準備が求められます。

① 事前エントリー(予約)

  • 年に数回、申請の受付期間が設定されています。
  • 申請希望者は、専用フォームにより事前エントリー(仮登録)を行います。

② アドバイザーによる支援

  • 都が認定するアドバイザーが現地訪問し、DXの現状把握と課題整理、計画策定を支援します。
  • この支援を受けることが、申請の前提条件です。

③ 申請書類の作成・提出

  • 経費明細書、実施計画書、導入スケジュール、企業情報などを添付し申請します。
  • GビズIDプライムアカウントの取得が必要です。

④ 審査・交付決定

  • 提出書類に基づき、書面審査と内容確認が行われます。
  • 審査結果は数か月後に通知され、交付決定後に契約・支出が可能となります。

他制度との併用による相乗効果

本助成金は、他の国・都道府県の補助制度とも併用が可能です。たとえば:

  • IT導入補助金:小規模事業者が同様のシステムを導入する場合に有効
  • 事業再構築補助金:業態転換を伴う大規模な投資計画と連携
  • 経営革新計画との組み合わせで、信用保証・融資の優遇措置が受けられる

行政書士としては、事業者の補助金活用戦略を一元的に支援し、全体最適の資金調達戦略を設計することが重要です。


行政書士による支援内容

当事務所では、以下のような支援サービスをご提供しております:

  • 助成対象要件の確認・整理
  • アドバイザー支援予約のサポート
  • 計画内容の精査と実施スケジュールの整理
  • 経費の区分整理と明細作成
  • 賃金引上げ計画書の策定支援
  • 書類作成・提出代行
  • 他補助制度との連携戦略の立案

助成金は、「正確に」「期限内に」「戦略的に」申請することで初めてその価値を発揮します。専門的な視点から、採択率向上と手続き負担軽減を両立できるようサポートいたします。


まとめ

東京都のDX推進助成金は、都内の中小企業がデジタル化という次のステージに踏み出すための強力な支援策です。助成額・助成率ともに非常に手厚く、業種や企業規模を問わず活用可能です。

「DXに挑戦したいけれど、制度の活用方法がわからない」「何から手をつけていいかわからない」という方は、ぜひ当事務所にご相談ください。制度の選定から書類作成、導入計画の構築、他制度との連携まで、トータルでご支援いたします。