建設業を始めるにあたり、必ず耳にするのが「建設業許可」という言葉です。
「建設業許可とは何なのか?」「なぜ取得しなければならないのか?」「どんなときに必要なのか?」
本記事では、これから建設業を始める個人事業主・法人の方向けに、建設業許可の基礎知識を、行政書士がわかりやすく丁寧に解説します。

1. 建設業許可とは?

建設業許可とは、一定規模以上の建設工事を請け負うために、国や都道府県から事業者が取得しなければならない許可のことです。

建設業法第3条により、次のように定められています。

「建設工事を請け負って営業をしようとする者は、国土交通大臣または都道府県知事の許可を受けなければならない」(建設業法 第3条)

つまり、一定の要件を満たさないまま無許可で工事を請け負うことは法律違反となります。


2. 建設業許可が必要な工事とは?

以下の金額基準を超える建設工事を請け負う場合、建設業許可が必要です。

工事の種類許可が必要な工事金額の目安
建築一式工事1,500万円(税込)以上、または150㎡超の木造住宅
その他の工事(専門工事等)500万円(税込)以上

この金額以下の工事は「軽微な建設工事」とされ、許可を取得しなくても営業が可能です。

ただし、公共工事の受注や、大手元請との取引には許可が事実上の条件となっていることが多く、早期の取得が推奨されます。


3. 建設業許可を取得しないとどうなる?

無許可で法定以上の金額の工事を請け負うと、建設業法違反として罰則の対象となります。

  • 罰則内容:懲役6か月以下または罰金100万円以下
  • 営業停止や行政指導の可能性
  • 元請や自治体からの信用失墜・契約解除の恐れ

また、無許可営業が発覚した場合、過去の受注実績も評価されなくなり、経営事項審査や入札の資格審査で大きなマイナスとなります。


4. 建設業許可の種類

建設業許可は、以下の2つの分類があります。

(1)一般建設業と特定建設業

区分概要
一般建設業小規模工事や下請契約額4,500万円未満の元請工事
特定建設業下請契約額が4,500万円以上の元請工事を請け負う場合に必要

※建築一式工事の場合は、7,000万円が基準になります。

(2)知事許可と大臣許可

区分概要
都道府県知事許可営業所が1つの都道府県にある場合
国土交通大臣許可複数の都道府県に営業所がある場合

5. 建設業許可を取得する5つのメリット

建設業許可は、単なる「法令遵守」の枠を超えて、次のような経営上のメリットがあります。

  1. 公共工事の受注が可能(経審・入札参加資格審査の前提)
  2. 元請や金融機関からの信用力が向上
  3. 取引先の拡大・協力業者としての登録が可能
  4. 社会保険加入や雇用体制の整備が進む
  5. 会社の成長に応じて許可業種の追加ができる

6. 建設業許可を取得するための5つの要件

申請を行うには、以下の5つの法定要件を満たしている必要があります。

要件内容
経営業務の管理責任者建設業の経営経験5年以上など、経営面の実績を持つ役員等が在籍
専任技術者資格(施工管理技士など)または10年以上の実務経験者が常勤すること
財産的基礎自己資本500万円以上など、安定した資金基盤
誠実性法令違反歴がないなど、適正な事業運営が見込まれること
欠格要件への非該当破産者・暴力団関係者・前科がある者等でないこと

7. 建設業許可が必要なタイミングとよくある誤解

よくある誤解①

「まだ仕事がないから、売上が出てから許可を取ればいい」

→ 実際には、見積段階で許可の有無を確認されるケースが多く、機会損失につながることがあります。

よくある誤解②

「500万円未満の工事なら、何業種でもやっていい」

→ 建設業許可は「業種別」で発行されるため、扱う業種に応じて個別の要件を確認する必要があります


8. よくある質問(FAQ)

Q1:法人ではなく、個人でも許可は取れますか?
→ 可能です。ただし、法人と同様の要件(技術者・経営経験・財産基盤)が必要です。

Q2:許可を取るまでにどれくらい時間がかかりますか?
→ 書類作成に2~3週間、審査に1~2ヶ月が目安です。

Q3:一度取得すれば永続的に使えますか?
→ 有効期限は5年です。満了前に更新手続きが必要です。


9. 建設業許可のことなら、行政書士にご相談ください

建設業許可の申請は、単に書類をそろえるだけでは済みません。
技術者の要件確認や証明書類の準備、役員の経歴証明、会社財務の確認など、実務的なノウハウが問われる手続きです。

当事務所では、次のようなご相談を多くいただいています:

  • 法人設立と同時に許可を取得したい
  • 専任技術者が社内にいないが、どうすればよいか
  • 元請会社から許可取得を急かされている
  • 更新・変更・業種追加の相談もまとめてしたい

【対応エリア】

八王子市・立川市・府中市など多摩地域を中心に、東京都全域で対応可能です。


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建設業許可は、事業の信頼性を高める第一歩です。
行政手続きの専門家である行政書士にご相談いただくことで、スムーズかつ確実な許可取得が可能になります。

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