相続のお話その1 『遺言書の確認』 大切な人が旅立たれたときのこと…考えたくもないですが、そんなときに直面した場合、必ず発生するのが相続です。 今回は、相続が開始したら何をすべきか、順を追って解説します。 かなりのボリュームになるので、何回かに分けて発信します。 第一回は、『遺言書の確認』です。 ■相続とは 相続とは、一言でいえば、亡くなった方(被相続人)の財産について、誰に受け継ぐ権利があるのかを決め(相続人の確定)、受け継がれる財産の範囲を決め(遺産範囲の確定)、どのように分割して受け継ぐことにするか決め(遺産分割の法定)、その通りに財産を分配することです。 この場合の財産とは、プラスの財産(資産)もあれば、マイナスの財産(負債)もあります。 財産に不動産があれば、不動産登記の書き換え、預金があれば、預金の払い戻しなどを行い、財産が全て承継されて、相続は完結します。 ■まずは、関係機関への連絡 被相続人が亡くなったら、まずは役所へ死亡届を出し、年金事務所や保険会社、金融機関に連絡します。被相続人の権利義務関係をストップするためです。 ■遺言はあるか 被相続人が亡くなったときから、相続は始まります。 まずは遺言書の有無を確認します。 遺産相続は、相続する権利のある人(相続人)を確定することから始まります。 通常は、民法上の順位にしたがって、親族内で相続人が決まります(法定相続人)。 しかし、被相続人が遺言書で第三者、例えば友人に遺産を贈ることにしていた場合には、その友人も相続人に加わります。 ですから、遺言書の有無を確認するのが先決になります。 ■遺言書の3つの形式 遺言書には、主に3つの形式があります。 簡単に言うと、 ①自分で書いたもの(自筆証書遺言) ②本人の意思にしたがって公証人が書いたもの(公正証書遺言) ③遺言書を書いたという記録だけが公証役場に残っているもの(秘密証書遺言) の3つです。 ■遺言書の保管場所 それぞれの保管場所は下記のとおりです。 ①自己保管もしくは公証役場での保管です。 ②公証役場での保管です。 ③自己保管ですが、作成した事実だけは公証役場に記録されています。 ■まずは公証役場に問合せ ですから、まずは公証役場に問合せて、被相続人が作成した遺言書が保管されていないか、あるいは秘密証書遺言を残した記録はないか確認します。 そこで保管も記録もなければ、自筆証書遺言書を探します。これは、どこにあるのか、心当たりを探すしかありません。 ■遺言書は開封しない! 自筆証書遺言と秘密証書遺言は自己保管できますから、相続人が発見することがあります。 この場合、勝手に開封してはいけません。遺言書の効力がなくなる恐れがあります。 遺言書は、未開封のまま家庭裁判所に持ち込んで、内容を確認してもらう必要があります(検認)。 遺言書を発見したら、絶対に開封しないでください。 このように、相続が開始したら、まずは遺言書の有無を確認し、法定相続人以外に相続人はいないかを確認します。 遺言書がない場合は、法定相続人は誰なのかを確定するために、戸籍の収集を行います。 これについては次回解説します。