こんにちは。東京都・多摩地域(府中市・立川市・国立市など)を拠点に、建設業許可や補助金申請サポートを行う、おくだいら行政書士事務所です。

2025年(令和7年)の主要な大型補助金として「中小企業新事業進出促進補助金(新事業進出補助金)」が注目されています。「事業再構築補助金」が終了した今、大規模な設備投資や新工場の建設を伴う新規事業には、この補助金の活用が第一候補となります。

経営者様にとって一番の関心事は、「自社の場合、いったいいくらもらえるのか?」ということでしょう。

この記事では、「新事業進出補助金」の補助上限額、補助率、そして対象経費について、公募要領に基づき、行政書士がわかりやすく解説します。


結論:補助上限額は「従業員数」で決まります

「新事業進出補助金」の補助上限額は、企業の「常勤従業員数」によって、以下の4つの区分に分けられています。

従業員数補助上限額(通常)
20人以下2,500万円
21人~50人4,000万円
51人~100人5,500万円
101人以上7,000万円
(第2回公募要領に基づき作成)

ご覧の通り、従業員数が20名以下の中小企業であっても、最大で2,500万円という非常に大きな補助上限額が設定されているのが特徴です。

さらに!「賃上げ特例」で上限額が大幅アップ

上記の通常の上限額に加え、「大幅な賃上げ」に取り組む事業者には、補助上限額を引き上げる特例措置が用意されています。

従業員数補助上限額(賃上げ特例 適用時)
20人以下3,000万円
21人~50人5,000万円
51人~100人7,000万円
101人以上9,000万円
(第2回公募要領に基づき作成)

この特例を適用するには、給与支給総額の年平均成長率+6.0%以上など、通常よりも高い賃上げ目標を達成する必要がありますが、最大で9,000万円まで上限が引き上がる、非常に強力な制度設計となっています。


重要ポイント①:補助率と「最低投資額」

上限額と並んで重要なのが「補助率」です。

補助率は「1/2」

「新事業進出補助金」の補助率は、一律で「1/2」です。

(※ものづくり補助金のような、小規模事業者向けの2/3への引き上げはありません)

【注意】最低投資額は1,500万円から

ここで注意が必要です。この補助金には「補助下限額」が設定されており、その金額は750万円です。

補助率が1/2で、最低でも750万円の補助金を受け取る必要があるということは、逆算すると…

750万円(補助金) ÷ 1/2(補助率) = 1,500万円(税抜)

つまり、「新事業進出補助金」は、最低でも1,500万円(税抜)以上の大規模な投資を行う事業計画でなければ、申請の対象にならないということです。

数百万の機械導入などを検討している場合は「ものづくり補助金」や「小規模事業者持続化補助金」、1,500万円を超える大規模な投資を伴う新規事業であれば「新事業進出補助金」と、使い分ける必要があります。


重要ポイント②:何に使える?対象経費のキホン

「新事業進出補助金」は、その対象経費の広さが大きな魅力です。対象となる経費は、もちろん「新規事業のために使用される経費」に限られます。

主な補助対象経費は以下の通りです。

  • 機械装置・システム構築費
  • 建物費
  • 運搬費
  • 技術導入費
  • 知的財産権等関連経費
  • 外注費
  • 専門家経費
  • クラウドサービス利用費
  • 広告宣伝・販売促進費

最大の特徴は「建物費」が対象になること

上記の中でも、他の補助金(特にものづくり補助金)と一線を画す最大の特徴は、「建物費」が対象になる点です。

公募要領では、以下のように定められています。

専ら補助事業のために使用される生産施設、加工施設、販売施設、検査施設、作業場、その他事業計画の実施に不可欠と認められる建物の建設・改修に要する経費

(第2回公募要領 P.25)

具体的には、

  • 新規事業のための工場や店舗の「新築」
  • 既存の工場や店舗の「改修」・リノベーション
  • 新しい機械を導入するための「既存設備の撤去」費用

などが対象となります。これは、建設業や製造業、小売・飲食業の事業者様にとって、非常に大きなメリットと言えます。

【注意】

「新事業進出補助金」は、「機械装置・システム構築費」または「建物費」のいずれかが、必ず補助対象経費に含まれている必要があります。機械装置も建物も関係ない、といった計画は対象になりません。

「広告宣伝・販売促進費」も対象

もう一つの特徴が「広告宣伝・販売促進費」です。

新しい市場に進出するにあたり、新規顧客に製品・サービスを認知させるための

  • Webサイト構築費
  • パンフレットや動画の作成費
  • 展示会出展費用

なども補助対象となります。「ものづくり補助金」では原則対象外(※グローバル枠除く)のため、これも大きな違いです。


まとめ

今回は、「新事業進出補助金」の金額面と対象経費について解説しました。

  • 補助上限額は従業員数に応じて2,500万円~7,000万円(特例で最大9,000万円)。
  • 補助率は一律1/2
  • 最低でも1,500万円(税抜)以上の投資が必要な、大型補助金である。
  • 最大のメリットは**「建物費(新築・改修)」「広告宣伝費」**が対象になる点。

ただし、この補助金は「既存事業とは異なる新しい事業」でなければ申請できず、事業計画のハードルは非常に高いです。

「自社のこの新規事業プランは対象になるだろうか?」

「工場の新設を考えているが、ものづくり補助金とどちらが良いか迷う」

おくだいら行政書士事務所は、建設業・製造業の事業者様の事業内容を深くヒアリングし、補助金採択の可能性診断から、融資も見据えた精度の高い事業計画書作成までを一貫してサポートいたします。

東京都・多摩地域(府中・立川・国立・八王子など)で大規模な設備投資や新規事業をご検討中の経営者様は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。