「完璧な事業計画書が書けた!」 そう確信して提出したのに、結果は不採択。なぜ落ちたのか理由もわからず、途方に暮れる……。

補助金申請の現場では、このような悲劇が後を絶ちません。 実は、補助金の審査には「一発アウト」になる致命的なミスや、積み重なると不採択に直結する「隠れた減点ポイント」が存在します。

これらは、熱意ある経営者ほど、自社の事業への想いが強すぎて見落としてしまいがちな部分です。

本記事では、官公庁での実務経験を持ち、審査側の論理を熟知したおくだいら行政書士事務所が、審査員がこっそり減点ボタンを押す「7つのNGポイント」を暴露します。申請ボタンを押す前に、必ずこのリストでセルフチェックを行ってください。


1. 【形式不備】書類のバージョン違い・添付漏れ(即死レベル)

内容以前の問題ですが、最も多いのがこれです。 補助金の公募要領は頻繁に更新されます。「第10回公募」に応募するのに、ネットで拾った「第9回」の様式を使っていたり、必須書類(決算書や登記簿など)が1枚足りなかったりするケースです。

審査員の手元に届く前に、事務局の形式審査で「審査対象外」として弾かれます。どれだけ素晴らしい事業計画でも、読まれることすらありません。 「自分は大丈夫」と思わず、公募要領のチェックリストを指差し確認してください。

2. 【抽象的表現】「〜を検討する」「努める」の連発

審査員が最も嫌う言葉、それが「抽象的な努力目標」です。

  • × NG例:「販路拡大のために、Webマーケティングの強化を検討します
  • × NG例:「顧客満足度の向上に努めます

これでは、具体的に何をするのか全く伝わりません。審査員は「実現可能性なし」と判断し、減点します。

  • ○ OK例:「月間PV数1万を目指し、週2回のSEO記事投稿と月額5万円のリスティング広告を実施します
  • ○ OK例:「顧客アンケートを導入し、回答率20%を目標として、不満点の改善サイクルを構築します

「誰が・いつ・何を・どれくらい」やるのか、数字と固有名詞で言い切ることが重要です。

3. 【不整合】「ストーリー」と「数値計画」がチグハグ

事業計画書の文章(定性面)と、収支予算(定量面)がリンクしていないケースです。

例えば、文章では「Web広告による新規顧客獲得が成長の鍵です!」と熱く語っているのに、経費明細を見たら「広告宣伝費」が計上されておらず、「機械装置費」しか入っていない。 あるいは、売上計画で急激に数字が伸びているのに、その根拠となる「集客コスト」や「人員増強コスト」が見込まれていない。

文章と数字の辻褄が合わない計画書は、「経営者としての計数管理能力がない」と見なされ、大幅な減点対象となります。

4. 【市場無視】競合他社や市場環境の分析が甘い

「当社の製品は画期的なので、競合はいません」 このフレーズは、審査において死亡フラグです。

審査員はプロのコンサルタント(中小企業診断士など)です。「競合がいない」=「市場(ニーズ)が存在しない」か「リサーチ不足」のどちらかと判断します。

たとえ直接的な競合がいなくても、「顧客が現在使っている代替手段」は必ず存在します。 競合や市場リスクを認めた上で、「他社にはない独自の強み(差別化要因)でどう勝つか」を論理的に説明できなければ、加点は期待できません。

5. 【必要性欠如】「なぜ今、補助金が必要なのか?」が弱い

「お金がもらえるならやりたい」というスタンスは見透かされます。 補助金は税金ですから、「なぜ自己資金や銀行融資ではなく、国の金を使う必要があるのか?」という問いに答えなければなりません。

  • × NG例:「資金が足りないから補助金が欲しい」
  • ○ OK例:「この事業はリスクが高いが、成功すれば地域経済への波及効果が大きい。補助金によるリスク軽減があれば、今すぐ投資を決断し、市場シェアを確保できる」

「緊急性(今やる理由)」と「政策的意義(国が助ける理由)」の2点をアピールしましょう。

6. 【政策無視】加点項目や政策トレンドをスルーしている

補助金には、国が推進したい政策(賃上げ、DX、脱炭素、インボイス対応など)が反映されています。 これらに対応すると付与される「加点」を取りに行かないのは、武器を持たずに戦場に行くようなものです。

特に「賃上げ表明」「パートナーシップ構築宣言」などは、多くの申請者が実施してきます。これらをスルーすると、相対的に順位が下がり、ボーダーライン上で不採択になる可能性が高まります。

7. 【経費の妥当性】相場とかけ離れた見積もり・汎用品の購入

「補助金が出るから」といって、相場より明らかに高い業者に見積もりを取ったり、事業に直接関係のないパソコンや車(汎用品)を経費に入れたりしていませんか?

審査員はコスト感覚もシビアに見ています。 「なぜその機械が必要なのか」「なぜA社ではなくB社を選んだのか(相見積もり)」という選定理由が曖昧だと、「経費の水増し」「無駄遣い」と判断され、経費の一部、最悪の場合は全額が否認されます。


まとめ:審査員は「粗探し」のプロである

補助金の審査員は、短時間で数百件もの計画書を読み込み、「落とす理由」を探しています。 上記の7つのポイントは、彼らが真っ先にチェックする箇所です。

しかし、裏を返せば、これらのNGポイントを潰し、審査員が納得するロジックを組み立てさえすれば、採択率は劇的に向上します。

「自分では気づけないミス」を防ぐために

もし、ご自身で書いた事業計画書に少しでも不安があるなら、提出前に専門家の目を通すことを強くお勧めします。

おくだいら行政書士事務所では、東京都(国立市・府中市・立川市エリア)を中心に、「審査・行政側の論理」に基づいた事業計画書の作成・添削を行っています。 単なる「てにをは」の修正ではなく、審査員に刺さるストーリー構築と、減点ポイントの徹底排除を行います。

「あの時、相談しておけばよかった」と後悔する前に。 まずは一度、当事務所の無料相談をご活用ください。