東京都創業助成金で家賃・人件費・広告費はどこまで対象?対象外経費と計算の注意点を徹底解説
東京都の「創業助成事業(創業助成金)」は、最大400万円という手厚い助成額に加え、通常の補助金では対象になりにくい「賃借料(家賃)」や「従業員人件費」が広く対象となることから、創業初期の事業者にとって非常に魅力的な制度です。
しかし、「何でも経費として落とせるわけではない」という点に最大の注意が必要です。募集要項には、各経費項目に対して極めて細かく厳格な「対象外となる要件」が定められています。「自宅兼事務所の家賃は対象になる?」「ECサイトの構築費用は?」「役員や親族の給与は?」といった実務的な疑問をクリアにしないまま申請してしまうと、審査で不採択となるばかりか、採択後の完了検査で「経費として認められず大幅に減額される」という事態に陥りかねません。
本記事では、東京都創業助成金における「対象経費の3区分」の基本ルールから、賃借料・広告費・人件費などの詳細な計上基準、そして絶対に知っておくべき「対象外経費」と「申請額の計算ミス」まで、募集要項に基づき徹底的に解説します。
創業助成金の対象経費「3つの区分」と申請額計算の基本ルール
創業助成金の対象となる経費は、大きく分けて「事業費」「従業員人件費」「委託費」の3つの区分に分類されます。
事業費・従業員人件費(上限300万円)と委託費(上限100万円)の内訳
助成限度額は全体で400万円ですが、それぞれの経費区分ごとに申請できる上限枠が定められています。
- 事業費(上限300万円):賃借料、広告費、器具備品購入費、産業財産権出願・導入費、専門家指導費。(※従業員人件費と合算して300万円まで)
- 従業員人件費(上限300万円):従業員に対する給与・賃金。(※事業費と合算して300万円まで)
- 委託費(上限100万円):市場調査・分析費。
つまり、400万円を満額申請するためには、「事業費+人件費」で300万円、「委託費」で100万円といったように、必ず委託費(市場調査・分析費)を組み合わせる必要があります。
「人件費のみ」「委託費のみ」の申請は不可!事業費の計上が必須となる規定
申請時における極めて重要なルールとして、「従業員人件費のみ」「委託費のみ」または「従業員人件費および委託費のみ」を助成対象経費として申請することはできません。
創業助成金を利用する際は、必ずベースとして「事業費(賃借料や広告費、器具備品購入費など)」を計画に組み込む必要があります。いくら人件費に多額のコストがかかる業態であっても、事業費の申請がゼロであれば要件を満たさないため注意が必要です。
助成対象期間内の「契約・履行・支払」完了原則と、賃借料・人件費の例外規定
助成対象となる経費は、原則として「助成対象期間中(交付決定日〜事業完了日まで)に契約、履行(取得・実施等)、支払のすべてが完了した経費」に限られます。期間外に行われた支払いや、期間外を対象とする経費(翌月分の家賃の前払いや、クレジットカードの引き落とし日が期間外となるものなど)は対象外です。
ただし、「賃借料」および「従業員人件費」に限り、交付決定日以前に契約した内容であっても、対象期間中の実施・支払分であれば助成対象経費として認められる例外規定があります。
【事業費】賃借料・広告費・器具備品購入費等の詳細な適格基準
申請の要となる「事業費」について、明細(賃借料、広告費など)ごとの対象範囲と、間違いやすい対象外のケースを解説します。
賃借料:事務所・店舗家賃、シェアオフィスの対象条件と除外規定
都内の不動産(事務所、店舗、駐車場等)の賃借料や共益費が対象となります。
- 対象となるケース:原則として「助成事業の実施のみに使用する物件」が対象です。シェアオフィスやコワーキングスペースについても、都内拠点であり実態があれば対象となります。
- 【要注意】対象外となるケース:
- 敷金、礼金、保証金、仲介手数料、更新料、火災保険料。
- 住居兼店舗・事務所:事業に必要な空間が、間仕切り等によって物理的に明確に区分されていない場合は対象外です。
- 親族所有の不動産:申請者や法人の代表者、その配偶者、または三親等以内の親族が所有する不動産の家賃は対象になりません。
- バーチャルオフィスの利用料:実体を伴わないため対象外です。
- 単発の利用料:会議室の都度利用料、イベントスペースの一時使用料は継続的な賃借ではないため対象外です。
広告費:Web広告・HP制作・展示会出展の対象範囲と除外理由
自社で行う販路開拓や顧客獲得を目的とした広報活動(広告掲載、展示会出展、ホームページ作成、パンフレット作成等)が対象となります。
- 対象となるケース:インターネット広告の代理配信や、商品PRを目的としたHP作成(外部サーバー利用料含む)が対象です。
- 【要注意】対象外となるケース:
- 販売を主目的とするシステム:ECサイト(オンラインショップ)の出店費用、自社HP内の決済機能・予約システム等に関する構築費用は「広告」とみなされず対象外です。
- 未配布のチラシ・パンフレット:助成対象期間中に「配布が完了した数量」のみが対象です。事務所に残っている未配布の残品は対象外となります。
- 交際費的なもの:贈答用の商品券の購入や、切手・はがき類の購入費用。
- 関連会社への発注:親会社、子会社、代表者の親族(三親等以内)が経営する会社への外注・制作依頼は対象外です。
器具備品購入費:「税込1万円以上50万円未満」の単価基準と除外ルール
創業初期に必要な机、PC、コピー機、簡易エアコンなど「単体で機能を果たす器具備品」の購入費が対象です。
- 対象となるケース:1点あたりの購入単価が「税込1万円以上50万円未満」のものが対象です(配送費や据付費を含めて一括計上可能)。
- 【要注意】対象外となるケース:
- 少額の消耗品:文房具類(ペン、ファイル、USBメモリ等)や日用消耗品は対象外。
- 車両や不動産:自動車、バイク、自転車等の車両購入費は対象外。
- 中古品の購入費:すべて対象外です。
- 機械装置:建物附属設備(屋外照明など)や、複数組み合わせて設備を形成するものは対象外です。
産業財産権出願・導入費と専門家指導費の注意点
特許権、商標権などの「出願・導入費」は対象ですが、出願前の調査費、審査請求、登録費用、権利維持費は対象外です。
また、外部専門家からのアドバイスに関する「専門家指導費」については、弁護士や税理士、社労士などとの「顧問契約(月々定額、自動更新など)」は対象外となります。さらに、書類作成代行や手続代行(業務の遂行)と助言が一体となっている委託費用も対象外です。
【従業員人件費・委託費】上限額と提出必須となる証拠書類
正規従業員・パートアルバイトの計算方法と賞与・諸手当の扱い
都内を勤務地とし、直接雇用契約を結んだ従業員の人件費が対象です。
- 正規従業員(月給制):1人につき月額35万円が上限です。賞与を支給する場合は、基本給との月額換算合計が35万円の範囲内でのみ対象となります。
- パート・アルバイト(日給・時給制):1人につき日額8,000円が上限です。
- 対象外となる手当・経費:時間外労働(残業代)、休日出勤手当、通勤交通費、住居手当、法定福利費(会社負担分の社会保険料など)はすべて対象外です。純粋な基本給部分のみで計算します。
役員・親族の人件費除外ルールと厳格な管理要件
法人の代表者や役員(監査役等含む)、個人事業主本人および「個人事業主と生計を一にする三親等以内の親族・配偶者」への給与は対象外です。また、派遣社員や業務委託など直接雇用ではない人員の費用も対象外となります。
人件費を申請する場合は、完了検査にて「雇用契約書、就業規則、出勤簿、賃金台帳、雇用保険被保険者証、従業員別の作業日報」など多岐にわたる書類の提出が求められ、厳格に管理実態がチェックされます。
委託費(市場調査・分析費)で求められる成果物の提出義務
委託費として計上できるのは、ターゲット市場の規模や競合状況に関する「市場調査・分析費」のみです。これには、外部専門業者等に委託し「必ず成果物(調査報告書など)が納品されること」が必須条件となります。実績報告時に公社へ成果物を提出できない経費や、単なる統計資料・ソフトウェアの購入費用は対象外です。
審査で落ちない・減額されないための「経費明細総括表」作成の注意点
対象経費を正しく選定しても、申請書(助成対象経費明細総括表)の金額計算を誤ると、不備として扱われたり、受給額が想定より減ってしまう危険性があります。
税抜所要金額の3分の2以内(千円未満切り捨て)の計算シミュレーションと間違い
助成金申請額は、各経費区分ごとに「所要金額(税抜)の3分の2以内」かつ「千円未満切り捨て」で計算する必要があります。
【よくある計算間違い】
例えば、事業費の交付申請額として「270万円」を希望する場合、単純に270万円を記載してはいけません。270万円の助成を受けるためには、自己負担となる3分の1を含め、税抜で405万円以上の所要金額を計上し、審査を通過する必要があります(405万円 × 2/3 = 270万円)。
また、交付申請額の総合計が400万円を超える申請は不可となるため、各経費の所要金額が多額であっても、最終的な「交付申請額」の合計が100万円以上400万円以下に収まるように手動で調整(減額)して記載する必要があります。
全区分共通の対象外経費(ポイント使用分・相殺取引・関連会社取引など)
すべての経費区分に共通して「助成対象外」となる決済ルールが存在します。経理処理の際は以下に十分注意してください。
- ポイントでの支払い:クレジットカードや店舗等のポイントを使用して購入した分(過去に付与されたポイントの利用分も含む)は、対象経費から除外されます。
- 相殺取引・小切手:他の取引との相殺で支払いを済ませたものや、他社発行の手形・小切手での支払いは対象外です。
- 手数料類:銀行の振込手数料、代引手数料、クレジットカードの分割・リボ払い手数料は対象外です。
- グループ会社・親族企業との取引:親会社や子会社、代表者の親族(三親等以内)が経営する会社への支払いは、一切助成対象になりません。
府中市、立川市、八王子市エリア対応|適正な経費計上と資金計画の策定支援
東京都創業助成金は、幅広い経費が対象となる反面、「何が対象で、何が対象外か」の線引きが非常にシビアです。事業計画書上のストーリー(売上計画)と、申請する経費明細が論理的に連動していない場合、審査で大きく減点されるか、採択されても完了検査で経費として認められず自己負担となってしまうリスクがあります。
おくだいら行政書士事務所(府中市、立川市、八王子市エリア対応)では、多摩地域で起業される事業者の皆様が「審査に通過し、かつ適正に受給できる」ための事業計画・資金計画の策定を専門的にサポートしております。
当事務所のサポートの強み
- 審査官の視点を踏まえた経費構成の立案:代表行政書士は官公庁での補助金審査経験に加え、建設会社の取締役として自社の資金繰り・法務総務を統括した経歴を持ちます。机上の空論ではない、事業会社の実情と審査要項のルールを擦り合わせた適正な経費プランをご提案します。
- 減額リスクを未然に防ぐ資金計画構築:提携する中小企業診断士とともに、家賃や広告費、人件費といった各経費が、規定(上限額や親族除外、相殺ルール等)に違反していないかを緻密に精査し、後払いに耐えうる強固な資金計画を立案します。
- フットワークの軽い地域密着対応:国立市を拠点としており、府中市、立川市、八王子市をはじめとする多摩地域へスピーディーに出張対応いたします。土日や夜間のご相談も可能です。
「この経費は創業助成金の対象になる?」「400万円を満額狙うための正しい計算方法がわからない」「自社のビジネスモデルに合わせた適正な資金繰り表を作ってほしい」など、対象経費や申請に向けたご不安がありましたら、ぜひおくだいら行政書士事務所までご相談ください。